音へのこだわり

フィッティング(音の調整)の原点は考えること

アナログ補聴器
   アナログ補聴器の調整ねじ

補聴器本体がアナログからデジタルへ進化したように、フィッティング方法も進化しています。

アナログ補聴器の時代は、内臓されている音質調整ねじをドライバーで回してフィッティングしていました。補聴器の性能を熟知した上で、お客様のご要望に合う音を自分で考え、音を聞きながらおこなうものでした。

おそらく、私ぐらいにこの業界に入った人間が、アナログ補聴器を調整できる最後の世代ではないかと思います。

デジタル補聴器の時代になってからは、聴力測定の結果をパソコンソフトに入力するだけで、補聴器のことを知らない方でも最低限のフィッティングはできるようになりました。しかし、それだけでいいのでしょうか?

いかに補聴器が進化しようとも、原点にあるのはアナログ補聴器の調整です。お客様との対話の中からご要望を汲み取り、自分で考えながら音を合わせていくことが大切だと考えます。 

ひとりひとりの個性に合わせる

下の聴力型の例に示すように「低い音は聞こえるけど、高い音が聞こえない(または、その逆)」など、聴力はさまざまです。

 

高音漸傾型
高音漸傾型
低音障害型
低音障害型
高音墜急型
高音墜急型
山型
山型

仮に、まったく同じ聴力測定の結果が出たとしても、お客はひとりひとりの「音の好み」や「補聴器へのご要望」は異なります。

パソコンソフトの計算どおりに上手くいくこともあれば、そうでない場合もあります。

それにパソコンソフトには、重要な「言葉の理解力」は入力できません。 

パソコンソフト任せではなく、どこまでお客様の期待にこたえられるのか・・・、認定補聴器技能者としての知識と技術が試される場面です。

補聴器は高価な耳栓?

メーカーで修理をしていたとき、フィッティングが原因で音が途切れたり、雑音が強調されているだけなのに、「故障」として送られてくることがずいぶんありました。

そこで、フィッティングのアドバイスを差し上げたところ、ほぼすべての問題は解決されました。

そのため、本来の業務ではないのに「フィッティングに困ったときの駆け込み寺」のようになってしまいましたが、私にとってはよい勉強になりました。

どんなに優れた同じ補聴器でも、フィッティングしだいではまったくの別物・・・高価な耳栓になってしまうかもしれません。 

そうならないように、音にはこだわり続けていきたいと思います。